無人搬送車には、その用途に合わせて様々な種類が存在します。
無人搬送車の主な種類6つをピックアップし、それぞれの用途や特徴をまとめます。
荷物を台車に乗せて任意の場所まで運ぶ無人搬送車を、積載型と呼びます。
従来は人が担っていた荷積みや運転といった工程を自動化できるため、マンパワー削減を目的として様々な現場で導入されています。
積載型の無人搬送車に荷を積む方法は、マンパワーを用いた手動積載方式の他に、コンベアーやリフターなどの機械を用いた自動積載方式の2種類があります。
誘導方式には様々な種類があり、ピックアップコイルで検出した磁場に沿って動く電磁誘導式や、レーザーを用いた光学誘導式、床や天井に描かれた二次元コードなどの画像情報を読み取って動く画像認識方式などがあります。
積載型が搬送車そのものに荷を積むのに対して、荷が積まれた棚やカゴを牽引する形で運ぶ無人搬送車を低床型と呼びます。
特殊な搬送物を取り扱うために棚やカゴへの改造を避けたい場合などに、この低床型の無人搬送車が活躍します。
低床型の無人搬送車は、任意の棚やカゴ、台車などの下に潜り込んで、内蔵したリフターを用いて荷台を持ち上げ、目的地まで運びます。
搬送車の誘導方式は、積載型と同様に電磁誘導や光学誘導、さらには磁石の力を用いた磁場誘導など様々な方法があります。
荷を直接乗せたり、荷が載った棚を持ち上げて運ぶのではなく、荷台やトレーラーを牽引する形で運ぶ無人搬送車を牽引型と呼びます。
上述の積載型や低床型と異なり、複数の荷台を連結して牽引する、あるいは様々な積載量の棚やカゴを牽引することが可能。物の量や荷姿に柔軟に対応できるというメリットがあります。
列車のように牽引するタイプの搬送車もあれば、低床型のように荷台に潜り込んで運ぶタイプもあります。
数十トン以上の重量物を運搬することに特化した無人搬送車は、重量型と呼ばれます。
バッテリー式で動く従来の無人搬送車と異なり、重量物の運搬に特化した無人搬送車はディーゼル方式やエレクトリック方式を採用している製品もあります。
メーカーによっては、数百トンの超重量物も安全に運べる無人運送車もあり、製造現場の安全性向上に大きく貢献します。
大型の重量物を無人で運べるだけでなく、シンプルかつ小回りのきく操作性や、ニーズに合わせたナビゲーション機能など、様々なメリットを備えた製品もあります。
路面環境の悪い屋外でも使用できる無人運送車もあり、屋外型と呼ばれています。
障害物センサーやパトライトを搭載しているため、無人でも安全な走行が可能です。
また、製品によっては有人運転モードも搭載しているため、ケースバイケースで人が直接運転することで入り組んだ狭所や小回りの利く走行も可能です。
工場などの屋内から構外まで幅広く搬送できるため、作業効率の向上や作業員の安全性確保に効果的です。
そのほかにも、用途に合わせてさらにカスタマイズされた特殊型の搬送車もあります。
具体的には、積載型の無人搬送車に荷積のための自動フォークリフトを搭載したものや、雨天の屋外使用を想定した屋根付きの無人搬送車などが挙げられます。
無人搬送車メーカーによっては、お客様の要望に合わせてオーダーメイドで搬送車を製造しているケースもあり、自社の使用用途に合わせて仕様を最適化できる点がメリットです。
無人搬送車には用途に合わせて様々な種類があり、それぞれの種類によって使用上のメリットも異なります。
どの無人自動車を選べば良いか悩んだ際には、多くのラインナップを取り揃えているメーカーに相談することで、より理想に近い無人搬送車を導入できます。
現場によってどのようなタイプのAGVを選べば良いかは変わってきます。現場での困ったことごとに、おすすめのAGVを紹介します。
ラインを増設するごとに接続コンベアも増設し、しかも各接点に人員を配置する必要がありました。
また倉庫にある部品を25カ所の加工ラインまで作業者が台車で運んでおり、1日何往復もするため重労働。台車搬送中に他のラインから要求があれば、別の作業車が対応するため人員が何人も必要となり、人員・コンベアともに配置が難しいのが問題です。
コンベア型AGVはどの方向でも長い距離を自動搬送できます。コンベアAGVを導入することで、各ラインに連結用のコンベア設置が不要となり、より効率の良い作業ラインを構築できるでしょう。
人員も倉庫前での部品供給だけとなり、人手を他の作業へ回すことが可能となります。
またAGV稼働中に次の搬送準備に取りかかることができ、時間短縮と搬送ミスをなくすこともできるでしょう。
自動車製造業などでは、数十トンの重量物を運搬する必要があります。一般的に天井クレーンを使いますが、運転資格が必要なので作業車が限られてしまうことと、安全性に十分気をつける必要があること、移動距離が限られていることが困難となります。
AGVの導入で重量物運搬のコストや安全性の向上をしたいと考えています。
重量型AGVの導入により、作業者がクレーンを操作する必要もなくなります。人員の安全性が保たれるだけでなく、人員をより生産性の高い部署へ移動させることもできます。
さらに重量型AGVなら、移動距離を限定せずにどこへでも安全に搬送できます。
既設の建屋から増築した新建屋の間が約200mあります。その間自動倉庫や出荷エリアなどを含めた4カ所に、部品材料や空台車の供給・回収を行うという、複雑な搬送工程を自動化できないかと考えている場合、どのようなAGVを選ぶべきでしょうか?
実現できれば、製品の搬送・納入の効率アップに繋がります。
牽引型AGVは、牽引できる規定の重量内であればさまざまな物品を引っ張れます。特殊なウレタン製のタイヤで安定性が保たれ、決められた範囲内に人が入ると自動停止、離れると再運転する障害物検出センサーで安全性も保つ製品もあります。
これまで運用していた台車を流用して低床型にすれば、カーゴの下に潜り込んでカーゴごと搬送も可能。作業効率もアップします。
搬送が難しい製品は、人の手で配送するしかありません。例えば、病院や学校などの配膳車は、人がその場所まで牽引していく必要があり、人手も時間もかかってしまいます。
このような搬送の難しい製品の配送にAGVを使用したいと考えています。
高さが180mmの低床型は、カゴ台車の下にそのまま潜り込めるコンパクトなAGV。カゴ台車に積まれた荷物をそのまま自動搬送でき、カゴ台車の改造も必要ありません。
また、配膳車のような搬送の難しいものでも、配膳車の下に潜り込んで配膳車ごと運ぶことができます。医療機材や薬剤、リネンなどの搬送にも使えるため、病院などでも活躍しています。
一般的に工場内や病院など、屋内の清潔な場所で使用されるAGV。もし屋外で使うとなると、太陽光や雨風など自然環境に耐えられるものであり、道路の勾配、一般車両との交差や通行人との干渉、移動距離といった屋外用として満たさなければならない要件があります。
屋外型のAGVは、屋外での使用を考慮した大径車輪やLEDライト、障害物センサーなどを搭載しています。一般的な屋内用のAGVと比較すると積載荷重も多い傾向にあり、道路の勾配や水、凹凸などに対応できる仕様になっています。
坂を登る時でも荷物を水平に保つ機能もあり、従来のAGVとほぼ同じ使い方で建屋間や屋外など幅広い場所で活躍します。
無人で搬送できるAGVは人員も時間も削減でき、効率が上がることは明確です。しかしAGV導入にはそれなりにコストがかかるのも気になるところ。
できる限りコストを抑えながら無人搬送車を導入できないかと考えています。
今まで使用していた台車に、基本ユニットである駆動ユニット、コントロールユニット、操作スイッチを装着し、バッテリーを搭載、磁気テープを貼って充電すれば無人走行できるようになります。
既存の台車だけでなく、車体などもAGV化が可能。
製品によって簡単に自由にカスタマイズして組立てができ、行き先指定あり・なしや搬送重量別のバリエーションもあります。
さらにオプションで必要な機能を取り付けられるため、比較的費用をかけずに必要なAGVが作れます。
悩み別にAGVの選び方を見てきましたが、実際の無人搬送車導入例を見ていきましょう。
国内4工場、海外2工場を有する自動車工場で、主に自動車の足回りに関連する部品を開発・製造しています。すでにAGVを導入している工場もありましたが、小物部品の多い石見工場では、もっと低コストでシンプルなものを探していました。
搬送上で問題だったのは、塗装ライン前後の部品搬送。仕掛品を塗装ラインへ供給し、塗装後に次の工程へ搬送する作業は手押し台車とフォークリフトによって行っており、作業者にとっては重労働でした。
タグカート導入の提案を受け、安価で導入・運用することができた上に、今までの台車が利用でき、塗装工程のタクトに合わせた搬送システムが柔軟に組めるようになり、メリットが大きかったです。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/voice/ytec/index.html)
近年、中身も容器も多様化したという清涼飲料水。これに対応するため、大規模な新工場建設プランを打ち出し、衛生管理の行き届いた無菌工場にしたいと希望していました。
原材料となるコーヒー豆、砂糖、原液などや、ペットボトル成型のもととなるプリフォーム、キャップ、ラベルなどの副資材の保管・搬送・供給をすべて自動化し、かつ安全で正確に行う無人の各種搬送機器を組み合わせて提案。
衛生面や安全面、将来の拡張性まで考えられた自由度の高いシステムとなりました。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/voice/hokkaido_ccbc/index.html)
印刷工場に3〜3.5トンのロール紙をトラックから工場内へ荷下ろしするロール紙搬入・搬送設備を新設。それ以前にはホイストクレーンタイプのロール紙搬入設備を使用していましたが、スピードが遅く専属オペレーターも必要でした。
そこでテーブルリフター式を採用。4トンの重量に耐えうる設備を導入し、これまでの搬入速度の2倍の速度で搬入できるようになりました。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/voice/sagawainsatsu/index.html )
適切な温度・湿度管理が重要なピアノ。しかし保管エリアは出入り口が多く、密閉性が低いため空調が効きづらく、品質管理や高額の電気代に悩んでいました。
さらに急な納品変更などで特定のピアノだけ先に出庫させる場合、対応に多くの手間がかかっていました。
そこで自動倉庫を導入し、コンパクトなスペースでの大量保管が実現。無人搬送台車や自動開閉シャッターを活用したことで、密閉性の高い保管・シーズニングシステムを構築できました。品質管理レベルが向上し、在庫のスリム化・最適化にも繋がっています。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/detail/yamaha/index.html)
各農家から集荷した玄米の保管・管理・入出庫などの倉庫業務において、平置きによる無駄なスペースや温度管理のバラつき、フォークリフトの操作ミスによる破損・廃棄などが問題になっていました。
自動倉庫を導入したことで倉庫スペースを活用でき、温度管理の基準も統一できて保管効率が大幅に向上。入出庫の運搬には高速有軌道台車を導入し、米袋の破損を防ぐことが可能になりました。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/detail/ja_uonuma/index.html)
折込チラシを保管したり、梱包工程へ搬送する作業を行っています。しかし、担当者しか保管場所を把握できておらず、また、フォークリフトで搬送している際に作業者に接触する危険性が生じていました。
在庫管理システムで在庫管理するようにしたところ担当者以外も引き当てが可能に。さらに、無人搬送車とモービルソーターを導入したことで搬送作業が減少し、人員が減らせたので安全性も向上しました。
参照元:TOYOTAL&F公式HP(http://www.toyota-lf.com/case/detail/chugoku/index.html)
自動車の展示会にて、自動車を移動させる装置として無人搬送車を活用しました。無人搬送車には、回転させて展示するためのターンテーブル、安全のために非常停止スイッチも搭載しました。
展示会に無人搬送車を使用するのはめずらしく、来場者を惹きつけることができ、展示会は見事成功。ターンテーブルを搭載することで、さまざまな角度から展示を楽しんでもらうことができました。
参照元:AGVナビ公式HP(https://agv.meidensha.co.jp/introduction/introduction03.html)
シリンダーヘッドの鋳造には、さまざまな工程が必要です。各パーツの搬送距離が長くなります。
ラインの増設を計画していましたが、工場内にコンベアを設置するスペースはありませんでした。そのため、移載装置をリフトアップ式にカスタマイズした無人搬送車を採用。移載を含めた搬送業務の完全無人化と生産能力の増減に応じた柔軟な運用が実現できました。現在は100台以上の無人搬送車が活躍しています。
参照元:AGVナビ公式HP(https://agv.meidensha.co.jp/introduction/introduction01.html)
組み立て工場において、大型部品を搬送する無人ローリフトと小型部品を搬送する有軌道台車を導入。
2種類の無人搬送車を組み合わせることで、異なる移載の高さに合わせて部品を運ぶことができ、限られた倉庫スペースを有効に活用できるようになりました。作業者の移動回数やサイクルタイムも削減。導入後に無人ローリフトのルートを変更しましたが、データ変更のみで短期間に作業を完了できました。
参照元:AGVナビ公式HP(https://agv.meidensha.co.jp/introduction/introduction05.html)