電子部品工場における課題と改善策について紹介します。また、無人搬送車を導入することによって解消が期待できる課題や、無人搬送車導入事例についてもまとめました。
電子部品とは、電子回路に使う部品のこと。電気部品工場では、パソコンや携帯電話、デジカメ、半導体など電子技術が用いられた製品を取り扱うことになります。作業内容にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
電気部品を組立・組付けする作業で、ネジ締めやIC取り付け、シール貼り、ハンダ付けなどが主な仕事内容です。
基本的にライン作業になっていて、作業スタッフは決められた場所に配置され、ベルトコンベアに流れてくる電気部品を作業担当して組み立てていきます。それぞれがハンダやドライバーなどを使って電子部品を組み込んでいき、最終的に1個の電子基板を完成させます。
ライン作業の場合は一人あたりが覚える量は少なく、ひとつの工程作業を覚えれば別の工程作業に移動することもあります。ベテランだとすべての工程の作業を覚えていて、病気やけがなどによって急に欠員が出たときにヘルプに入ったりもします。1人の作業が遅れるとライン全体に影響してしまうので、素早く丁寧に作業を行う必要があります。
電子部品工場の加工ではほとんどの工程を機械が行うため、機械を操作するのが主な作業です。流れてきた製品を機械にセットして加工を実施。キズの有無などを確認するための簡単な目視検査や、マイクロメーターなどでサイズを測ることもあります。
検査で不具合が確認された場合には前の工程で何らかのトラブルが発生した可能性があるため、上司に異常を伝えて前工程での作業を見直してもらう必要があります。発見が遅れると不良品がたくさん出ることになるので、部品の検査は非常に重要な仕事と言えるでしょう。
電子部品はわずかなゴミ混入で不具合が発生してしまう可能性があるため、電子部品工場ではクリーンルームで作業を行うことがあります。クリーンルームとは、目に見えない細菌や視認しにくい小さなホコリなどを徹底的に取り除いた部屋のこと。クリーンルームで作業することで、電子部品に不純物が付着するのを防止します。
人間の体や衣服には多くの微粒子が付着しているため、クリーンルームで仕事をするときには全身を覆うクリーンスーツを着用する必要があります。またクリーンルームへの入出時は、エアシャワーを浴びてホコリやゴミを吹き飛ばしてから部屋に入ります。
スマートフォンやテレビ、自動車などさまざまな製品に搭載されている電子部品。技術革新を支えるために必要な電子部品産業は、今後も業績拡大が期待できます。しかし、電子部品のほとんどは製品構造とその作り方が数十年も前に確立されています。そのため、日本と比較し人件費の安い中国や台湾などのメーカにおされているのが現状です。電子部品業界で勝ち残るためには、業務を効率化して労務費の安い海外に対するコスト競争力を得る必要があります。
電子部品工場においてもほかの製造業と同様に、高齢化や労働人口の減少に伴う人材不足が課題となっています。今後の電子部品工場を支えるため、人材確保が重要です。また、業務や教育体制の効率化を図ることによって業務体制を整えていくことで、人手不足解消に繋がります。
人手不足が深刻な電子部品工場では、生産性の向上によって環境改善が見込めます。トラブルが発生したとき、目の前のトラブルをその場で解決したとしても本質的な稼働率改善にはなりません。ボトルネック要因を明確にするためには工場内のすべての工程を見える化することが必要です。見える化によって根本的な原因を解決できれば、生産性向上に繋がるでしょう。
生産ラインを含め、工場全体を適性化することでコスト競争力を上げることができます。これを実現するためには、自動化を可能とする技術の導入が必要不可欠でしょう。さまざまな技術の中から工場に適した手段を選択し、効率よく導入していく必要があります。
無人搬送車を導入することで今まで多くの人手がかかった搬送作業の無人化が可能に。生産工程において自動化・省人化することができ、従業員一人あたりの生産アプトプットの拡大が期待できます。電子部品工場の課題である人手不足の解消に繋がるでしょう。
工場ではどうしてもヒューマンエラーが発生してしまいます。無人搬送車を導入すれば、搬送作業で発生するヒューマンエラーの排除が可能に。業務の効率化や品質レベルの一段の向上が可能となります。
電子部品工場における実際の無人搬送車導入例を見ていきましょう。
品種変更や生産量の増減が激しくレイアウトが頻繁である電子部品工場。搬送の自動化・効率化を目的として無人搬送車を導入。複数の人間が少しずつ労力をかけていた搬送を無人搬送車に集約することができました。
参照元:明電舎公式HP(https://agv.meidensha.co.jp/introduction/introduction02.html)
成型機から収納ラックまでの実箱搬送と、収納ラックから成型機までの空箱搬送を無人化が課題だった電子部品工場。移載用スライドテーブルを水平方向にもスライドできる機能を有した無人搬送車の導入によって、無人搬送車導入費用のみで搬送の無人化を実現しました。
参照元:株式会社シコウ公式HP(https://www.nc-net.or.jp/company/94941/product/detail/108914/)