AGVには運用上の課題があります。早めに解決策を考える必要がある課題は主に以下の2つです。
遠隔監視を可能にする無線通信システムは、AGVの活動範囲が広くなり、エリアの区画分けが複雑になることでより大きなシステムを構築する必要があります。小規模なままのシステムで運用を続けた場合に懸念されるのが、電波の減衰による通信障害の発生と、結果として業務に支障をきたす可能性です。
また、システムが複雑化した場合には通信が錯綜してしまうことによる弊害もないとはいえません。よりAGVの運用に適した無線通信システムを選択するなど、課題解決策を講じる必要があるといえます。
AGVは無人で走行するため、人間が乗車して運転する車両とは根本的に異なります。その場その場で当事者が連携し、臨機応変に停止や回避といった行動ができるわけではありません。そのため、稼働台数が多くなり、他のAGVと出会うケースが増えたときに円滑な走行が維持できるかどうかが課題となります。
考えられるのは、AGV同士が走行の妨げになってしまうケースです。接近した場合は他車を感知することで衝突を防止するための安全機能が作動し、その場で停止するため事故の危険性は低いといえます。
しかし、本来なら円滑に走行すべき場面で停止してしまえば、業務の進行が遅れる結果となってしまうため、好ましいことではありません。また、停止への対応はマンパワーに頼らざるを得ないわけですが、せっかくの無人運行です。より円滑な走行維持の方法、滅多なことでは停止しない走行の確立が求められているといえるでしょう。
AGVを導入する場合、AGV本体の費用に加えて走行ルートの設置や監視・コントロールするための設備費用や設定費用がかかります。一般的なAGVシステムの導入には1,000万円単位の費用がかかることもあるといわれており、それだけでも簡単に決断しにくい面があります。
また、作業エリア内をAGVが問題なく走行できるように配置換えの必要が生じるケースもあるでしょう。場合によっては大規模なリフォームをする必要があるなど、膨大なコストが必要となりかねません。
導入に関する最大の課題であるコストの問題は、レンタルを利用することで解決できる可能性があります。本格導入だけでなく、試用の意味でもレンタルは有力な選択肢となるでしょう。
ヘッズでは、屋内向けに磁気誘導方式のAGVによるレンタルサービスを展開しています。W350mm×L1500mm×H280mmの大きさで、400kgまで前進搬送可能です。毎分40m進む能力をもっており、10段階の速度調節もできます。AGVの本格導入を前に試験的な運用をしてみたいときに便利です。また、故障したAGVの代替用として一時的にレンタルしたり、一時的に無人搬送を行ったりといった用途などでも手軽に利用できます。
CYBERDYNEではティーチングプレイバック方式と呼ばれるAGVのレンタルサービスを実施しています。誘導のための磁気テープやマーカーを必要としない方式で、手軽に導入できる点が大きなメリットです。サイズは縦632mm×横610mm×高さ550mmで、200kgの搬送能力をもっています。走行速度は毎分最大30mです。デモを見たうえでレンタル利用の判断ができるほか、安全使用講習会の実施も特徴のひとつといえます。
IDECファクトリーソリューションズでは、本格導入を検討するための試用期間として1ヶ月間AGVを貸し出すレンタルサービスを行っています。長期のレンタルはできませんが、試用後に購入すると割安料金が適用されるためお得です。レンタルされる機種はMiR100で、大きさはW580mm×L890mm×H352mm、積載重量は100kg、前進時の速度は時速5.4kmで、後退時は1kmとなっています。また、けん引用トラクター「MiRHook」を使えば300kgまでけん引が可能です。
シンテックホズミでは、AGVシステムを気軽に試したいユーザー向けにトライアルパックとして「1ヶ月お試しパック」と「レンタルプラン」の2種類のレンタルサービスを実施しています。1ヶ月お試しパックはそのまま導入するかどうかを見極めるためのサービスで、導入時には総費用からお試し費用分が割り引かれるので安心です。導入コストを抑えたいニーズなら、レンタルプランを選べます。レンタルプランは6ヶ月以上の契約が必要です。