自動倉庫の概要や、複数ある自動倉庫の種類について紹介します。また、自動倉庫のメリット・デメリット、自動倉庫の構築の前に検討すべきことについてもまとめました。
自動倉庫とは、商品の入庫や保管、出庫といった一連の作業をすべて自動化した倉庫のことです。コンピュータで一元管理する「オートメーションシステム」を導入することで自動化を実現。自動倉庫と一口に言っても、保管する物の単位や形に応じて、複数の種類があります。
一連の流れを自動化する自動倉庫ですが、「運搬」に関しては無人搬送車などのシステム導入が該当します。
バケット自動倉庫とは、小型バケットに入れて保管できるタイプの倉庫のこと。不定型の商品や製品の保管に向いています。
パレット単位で高層ラックに製品を保管するタイプの倉庫。パレットは、1100×1100×144mmが標準サイズとなっています。高さ方向を活かし、効率的に保管することが可能です。
建築一体型の倉庫や既存の倉庫にも設置することができ、無人搬送車との併用にも向いています。
トレイや段ボール、コンテナなどを用い、製品のサイズ・形状・重量にとらわれず、フレキシブルに収納できる倉庫のことです。製品の種類が多いケースや特殊な製品を取り扱うケースに向いています。
移動棚型とは、棚そのものを移動台車に乗せて密集保管できる電動式タイプの自動倉庫です。棚自体が移動するため、倉庫内スペースをより有効に活用することが可能。ピッキングも効率よく行うことができます。
高さ方向を有効活用し、省スペースを実現する設計となっています。入出庫を集中管理するため、在庫を探したり集荷させたりする必要がありません。
冷蔵・冷凍庫の保管温度・湿度を常にコントロールし、保管物の品質や鮮度を下げないよう管理するタイプの倉庫です。冷蔵・冷凍倉庫では人間が連続して作業できる時間が限られているため、特に低温物流の分野で役立つ倉庫と言えます。
傾斜式流動棚は保管する棚自体に傾斜が付いていて、裏側から製品を補充し、正面からピッキング作業をおこなえる仕組みの棚となっています。棚の傾斜を利用して重力で製品をスライドさせるため、特別な動力源を必要としません。
補充とピッキング作業を同時に行えるため、業務効率化を実現します。
例えばパレット型であれば高層のラックを活用することができます。縦型式回転棚では、高さ方向を有効に使えるでしょう。移動棚型ならラックを密集させられるなど、自動倉庫を導入することで保管場所の省スペース化を図ることができます。
また入出庫やピッキングに必要な人員数を大幅に削減することができるため、少人化も実現。今まで倉庫の入庫や管理、出庫などに携わっていた従業員を倉庫内作業に限定することなく、それぞれ適切な業務に配置することもできます。
入庫や出庫、ピッキング作業を自動化することにより、24時間休みなく稼働することが可能に。人間が作業するよりも生産性が向上します。また、危険な作業に従業員が関わることを避けられるばかりでなく、冷蔵・冷凍倉庫など人では長時間の作業が難しい場所でも対応することができます。
物流業務の中でも特にピッキング作業はミスが多い作業となります。自動倉庫ではそんなピッキング作業も自動化することができるため、商品の取り違いや数え間違いなどのヒューマンエラーを大幅に削減することができるでしょう。
自動倉庫は便利ですが、その反面導入コストは高額です。
現状かかっている人件費や諸費用を明確化し、自動倉庫を導入した際に削減できるコストとの差額を比較してみましょう。削減コストにより導入コストを耐用年数以内に回収できそうならば、導入する価値があります。
業種や商品・製品によっては季節変動による対応が必要となります。時期に応じた規模の拡張や縮小に適宜対応しなくてはいけません。柔軟性のある自動倉庫システムを導入する必要があり、より高額になってしまうでしょう。
機械トラブルやシステム障害が生じた際、すぐに対応する必要があります。すぐに直せないと入出庫作業やピッキング作業に支障をきたし、最悪業務を停止せざるを得ないリスクも。
システム障害が起きた際の運用方法をマニュアル化しておく必要があります。また、十分なシステムサポートを提供している企業を選ぶようにしましょう。
保管や仕分け、集荷に至る全ての作業を自動化して自動倉庫を構築するのはコストが膨大にかかってしまいます。まずは、省人化したい作業を洗い出して計画的に環境整備を行うことが大切です。その一端として、運搬業務を効率化できる無人搬送車の導入の検討もしてみてはいかがでしょうか。