食品工場における課題と改善策について紹介します。また、無人搬送車を導入することによって解消が期待できる課題や、無人搬送車導入事例についてもまとめました。
食品工場の作業内容は、何を作っているかによって大きく異なります。代表的な食品工場の作業内容や特徴を見ていきましょう。
パン工場ではパンのみを専門にしているところもありますが、ケーキやお菓子などの製造を行っている工場もあります。作業内容はパンに具材をトッピングするなど、単純作業の繰り返しが多いです。バレンタインやクリスマスなど季節のイベント時には繁忙期となり、パンだけでなく、ケーキやお菓子の製造を行う場合もあるでしょう。
成型ラインや包装ラインなど各ラインに分かれて業務を行うのが特徴です。
弁当工場では、材料の下処理・調理・盛り付けなど手作業で行う業務が多いです。基本的に複雑な作業はありませんが、流れ作業になるためスピードや正確性が重要となります。
特徴としては単純作業が多く、基本的には自分が担当となる各製造ラインに立ったままの、立ち仕事であることです。下ごしらえや炊飯など担当ごとに分かれて流れ作業で弁当を作っていきます。食品工場はどこも衛生面に気を配っていますが、弁当は賞味期限が短いために特に衛生管理が厳しいという特徴があります。
冷凍工場では冷凍食品を取り扱います。作業内容は製造や調理ではなく、検品や梱包、出荷などが中心となります。冷凍工場では冷凍食品の品質維持のために冷凍倉庫で作業を行うことが基本です。冷凍倉庫はマイナス15度以下なので、一般的な食品工場に比べると過酷な環境の中で作業しなければなりません。
飲料メーカー工場での作業は、殺菌・充てん・出荷が基本となります。ただしこれらの作業は工場で自動化されているため、機械の操作や検品が仕事の中心と言えるでしょう。飲料は人が直接口にするものなので衛生管理に関しては厳しい傾向があります。
食品製造業はほかの製造業と比較して、労災発生件数が多い業種です。具体的な労災内容には転倒、はさまれ・巻き込まれ、高温・低温のものとの接触などがあります。
またこうした労働災害に加え、食中毒や異物混入などのリスクもあります。一度でもそのような事態に陥れば、経営へのインパクトが甚大なものになってしまうでしょう。さまざまなリスクを伴う食品製造業が持続的に成長していくためには、これらのリスクを軽減していく必要があります。
製造業界すべての問題ともいえる労働力不足は、もちろん食品工場においても無関係ではありません。むしろ近い将来深刻になる可能性が高い産業とも言えます。食品製造業は他業種と比較すると賃金が安く、作業が単純でモチベーションを高く保てない傾向があります。結果として、人員が定着せず労働力不足問題の改善が定着しません。
安定した労働力を確保するためには、給与面の改善や作業環境改善に対する取り組みを行う必要があります。各個人が仕事へのやりがいや達成感を感じることができれば、モチベーションを上げることが可能です。
そのためには一方的に決められた仕組みではなく、コミュニケーションが大切になってきます。本音で語れる場を設定するなど、縦と横のコミュニケーションが取れる仕組みづくりを行うことで安定した労働力の確保に繋がるでしょう。
食品業界はパートタイマーが多い傾向があります。パートタイマーの定着率を向上させるためには、雰囲気が良く続けたいと思わせる職場づくりを行う必要があるでしょう。入社時の教育を厚くし、さまざまな意見や要求に対して返事をすることが大切です。
パートリーダーを多く作って日々のルーティン業務はパートリーダーに指示してもらうことで、生産性の高い職場を実現できるでしょう。
食品工場はほかの工場と比べ、人の手に頼る作業が多いです。無人搬送車を導入することによって搬送の作業に携わっていた人材をほかの作業に回すことができるため、人手不足問題の解決が期待できるでしょう。また人件費の削減にも繋がります。
食品工場は人の作業が多い分、髪の毛や爪などの異物混入リスクは避けられません。もし異物混入が発生してしまうと出荷後の回収費用や廃棄費用、利益減少など膨大なコストがかかってしまいます。それだけでなく、信頼を落としてしまうことにもなり、企業のイメージダウンという深刻な問題にもなりかねません。
無人搬送車を導入すれば人の手による作業を少しでも減らすことができ、異物混入リスクの回避にも繋がります。
食品工場における実際の無人搬送車導入例を見ていきましょう。
製品の運搬時に発生する作業者の歩行運搬業務の削減が課題だった食品工場。無人搬送車の導入によって業務効率化を実現。各工程を無人搬送車が自動的に運搬することによって、作業者負担軽減にもつながる歩行運搬業務の削減を実現しました。
参照元：矢崎化工株式会社公式HP（https://www.solutions-navi.com/food_st/case1/s007/）
主に女性スタッフが手押し台車を使って数十㎞～数百㎞単位で食品原材料を搬送していたため、作業効率や作業者の安全性が課題だった食品工場。一度に最大1トン搬送できる無人搬送車を導入したことで、作業員の肉体的負荷と安全性が向上。併せて作業効率も改善されました。
参照元：シコウ公式HP（https://shiko.biz/agv_case/84.html）
無人搬送車（AGV）メーカー32社のうち、製品数の多い順に5社を厳選。各メーカーの製品数と種類で比較していきます（2021年4月15日時点の情報）。
