ここでは、ガイドレスAGVの概要をはじめ、特徴や従来のAGV・AMRとの違いについてまとめています。あわせて、ガイドレスAGVの種類についてもご紹介します。
ガイドレスAGVとは、磁気テープをはじめとするガイドを必要とせず、自立走行するAGVのことを指します。「非ガイド式AGV」「次世代AGV」と呼ばれることもあります。従来のAGVは、自動走行するのに何らかの誘導体を必要としています。しかし、ガイドレスAGVはそれらの誘導体を必要とせずセンサやカメラなどを使い、決められた走行範囲や走行ルートを自立走行します。
AGVのなかでも、ガイドレスAGVと似た特徴を持っているのが「AMR」です。では、ガイドレスAGVと従来のAGV・AMRにはどのような違いがあるのでしょうか。
前述のように、両者の最大の違いは誘導装置が必要か、不要かという点にあります。従来のAGVは、走行ルートや走行範囲に設置された誘導装置(磁気テープなど)を目印にしながら走行します。一方、ガイドレスAGVはそのような誘導体を必要としません。したがって、誘導体を設置していない走行ルート・範囲にも導入しやすいのが特徴です。
ガイドレスAGVの走行システムには、「SLAM機能」が大きく関わっています。SLAM機能とは、AGVがセンサやカメラ、レーダーなどを用いて自己位置の推定・環境地図の作成を行なう機能のこと。このSLAM機能を搭載することによって、ガイドレスAGVは正確に自己位置の推定・環境地図の作成を行なうことができるのが特徴。そこから得られた情報をもとに、自立走行する仕組みとなっています。
ガイドレスAGVとAMRは、どちらも誘導体を必要とせず自立走行するAGVです。両者の違いは、流通数と障害物への対応にあります。AMRには走行ルート上にある障害物を回避し、再度ルーティングする機能があります。一方ガイドレスAGVは、障害物が取り除かれるまで待機するという性質となっています。また、AMRを製造している国内メーカーはまだまだ多くありません。それに対し、ガイドレスAGVは国内の各メーカーから販売されています。「予算に合うか不安」「納期が遅れないか心配」といった懸念点がある場合は、ガイドレスAGVを選択するのもひとつの手だといえます。
ガイドレスAGVには、大きく2つの種類に分けられます。
ティーチ型ガイドレスAGVは、従来のAGVに近いタイプのAGVです。流通数が比較的多く、価格帯も抑えられているのが特徴。誘導体を必要としないため、走行ルートや周辺設備をある程度簡易化することもできます。
AI型ガイドレスAGVは、どちらかというとAMRに近い機能を持ったガイドレスAGVです。より高度なSLAM機能を搭載しているものも多く、走行ルートを自動算出して走行するため自由度の高い使い方ができるのが魅力。柱や壁などの障害物に対しても、回避したり再度ルーティングしたりといった機能を備えています。くわえて、AMRほど高額になるものは少なく、比較的導入しやすいというメリットもあります。
日本では、ガイドレスAGVの普及率が低いとされています。日本産業車両協会が2019年に行なった調査によると、従来のAGVの普及率が85%であったことに対し、ガイドレスAGVの普及率は15%に留まっていると報告されていました。とはいえ、国内におけるガイドレスAGVの供給元はけして少なくありません。近年は国内メーカーによってガイドレスAGVが販売されているほか、中国や欧州などの海外製品も輸入されています。