補助金や助成金は無人搬送車導入に使えるのでしょうか。ここでは無人搬送車導入に使える補助金・助成金や、審査を通過するためのポイントなどについて紹介します。
補助金と助成金に違いはほとんどありません。どちらも国や地方公共団体、民間団体から支給されるお金で、原則として資金の返済は不要です。
違いとしては、補助金は基本的に予算や採択件数が決まっているということ。最大幾らまで、何件までという決まりがある場合が多いです。そのため、公募方法によって抽選や先着順で交付されることになり、申請したからといって必ずしも受給できるわけではありません。
補助金は助成金よりも種類が豊富ですが、年に数回しか募集がない上、公募期間が短いという特徴があります。ただし前年度の助成金内容が引き継がれる場合が多いので、補助金の募集が出そうなタイミングを予測して計画を準備しておくとよいでしょう。
一方助成金は受けとるための要件が決まっていて、その要件を満たしていればほぼ受給できます。原則通年を通して申請可能で、条件に合致していれば支給されるため難易度は低いです。
ただし人気の助成金は公示から数ヶ月程度で受付終了になることもあるため、早めの申請が大切です。資料をしっかり準備すれば需給できる可能性が高いので、日ごろから国や自治体の最新情報をチェックし、公示されたタイミングで申請すると安心です。
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業や小規模事業者などが今後複数年にわたって直面するであろう制度変更に対応するため、革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援するための補助金制度です。
応募時に提出した事業計画書を審査委員会が評価し、より優れた事業提案を採択。通年を通して公募し複数の締切を設けて審査することで、十分な準備をした上での応募を可能にします。書類に不備がある場合は不採用となるので気を付けましょう。ただし不採択になった場合でも、再申請することは可能です。
補助上限の金額は、従業員規模により異なります。一般型(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠)の場合は750万円~1,250万円、一般形(グリーン枠)は1,000万円~2,000万円、グローバル展開型の場合は3,000万円です。
参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html)
国土交通省による「モーダルシフト等推進事業費補助金」は、無人搬送車を導入し物流DXを推進する取組などを支援する補助金制度です。物流分野における労働力不足への対応や環境負荷の低減を図るため、トラック輸送から鉄道、海運への転換などの取り組みを進めていましたが、2021年から省人化・自動化に関する機器への上乗せ支援を実施。無人搬送車をはじめとした省人化・自動化に資する機器の導入を計画した場合、その取組に対して補助額上限の引き上げを行います。
大量輸送機関への転換やトラック輸送の効率化といった取組に対する計画策定経費の補助率は上限200万円ですが、無人搬送車を導入した場合上乗せ300万円、上限総額500万円に。運航経費の補助では上限500万円ですが、上乗せ500万円で上限総額1,000万円となります。
参照元:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000567.html)
参照元:モーダルシフト等推進事業(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001418901.pdfl)
東京都中小企業振興公社による「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」では、更なる発展に向けた競争力の強化やデジタルトランスフォーメーションの推進、国内外で市場拡大が期待できる産業分野におけるイノベーションの推進、後継者問題で必要となる機械設備などを新たに導入した場合、経費の一部を助成します。
申請資格の要件にはさまざまなものがあるため、必ずホームページを確認してから申請するようにしましょう。また申請書類の提出には事前に「申請予約」が必要です。助成金の下限額は100万円で、限度額は3,000万円~1億円になります。
参照元:東京都中小企業振興公社(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/yakushin.html#youko)
無人搬送車の導入に補助金・助成金を活用するメリットのひとつには、経済的負担の軽減があります。補助金・助成金は原則として返済不要です。融資などとは異なり、審査に通過さえできれば返さずに使えるお金を補助してもらえることは大きな利点と言えるでしょう。
特に補助金に言えることですが、補助金は厳しい審査をくぐり抜けなければ支給されません。つまり補助金を支給されるということは、事業計画に優位性や将来性があると認められたということ。社会的信用性が高まることに繋がります。
補助金を受給するためには、審査が必要です。審査に通過するのが難しい場合が多く、手間暇かけて書類を作成し応募しても、なかなか採用されない可能性があります。
助成金の場合は要件を満たしていれば需給できる可能性が高いですが、助成金や補助金ということばが明確に区別されていないことも多く、場合によっては審査が必要です。各々の制度の内容をよく理解した上で活用するようにしましょう。
審査を通過するためには、審査員に「この事業は補助金・助成金を支給するべきだ」と思わせる必要があります。そのためには、他の申請との違いや魅力をしっかり伝えなければいけません。
出来る限り分かりやすい事業計画書をつくり、事業の優位性や将来性をアピールするようにしましょう。また、事業内容に加えて実績などをアピールできる素材があれば添付して一緒に提出するなど、添付資料で工夫してもよいでしょう。
補助金・助成金の使用目的を明確にすることも大切です。申請書を提出する大きな目的は、事業内容と補助金の使用目的を理解してもらうこと。業界内の専門用語をなるべく使わず、使用目的が確実に伝わるような申請書になるよう心がけましょう。