AGV、AMR、GTPの3つを比較し、それぞれの違いを解説。無人搬送技術に関して、AGVやAMR、GTPの違いが分からない方は必見です。
AGVとAMRは、その走行方式と走行範囲に大きな違いがあります。
従来の無人搬送技術であるAGVは、レールや磁気テープなどの誘導体を必要として、固定されたルート上のみを走行する誘導走行方式です。
仮に走行ルート上に障害物を感知した場合は、その場で走行を停止します。
一方で、AMRは内蔵されたカメラやレーザーによって、倉庫や工場内のマップや障害物を自動で認識するため、磁気テープのような誘導体を必要としません。
人によって荷物が乗せられた後は、次の目的地まで自動で走行し、走行ルート上に障害物を見つけた場合は自動で回避して再ルーティングを実行します。
AGVとは、英語のAutomatic Guided Vehicleの頭文字を取った略称で、日本語では主に「無人搬送車」「無人搬送機」などと呼ばれます。
所定の床や天井に設置されたレールや磁気テープ、二次元コードなどに沿って決められたレールの上を走ることで、荷物など人以外のモノをマンパワーを必要とせずに運びます。
一方で、AMRとはAutonomous Mobile Robotの頭文字を取った略称で、日本語では「協働型搬送ロボット」や「自律走行搬送ロボット」などと表記されます。
任意のマップに基づいて自動で走行ルートを算出し、障害物を避けながら自力で次のピッキング箇所や梱包エリアまで荷物を運ぶ物流技術を指します。
GTPとは、Goods To Personの頭文字を取った略語で、日本語では「棚搬送型ロボット」や「棚流動型ロボット」などと訳されます。
GTPの特徴は、運搬する荷物が入っている棚やカゴ、荷台ごとロボットが運んでくるため、マンパワーによる荷積が不要な点にあります。
代表的な導入事例としては、Amazonが導入しているKIVA、NIKE社や佐川グローバルロジスティクス社が導入しているEVEなど、大手企業を筆頭に注目を集めています。
従来のAGVとGTPでは、荷物のピッキング業務を人が担うかロボットが担うかという点に違いがあります。
上述のAGV、ひいてはAMRの場合でも、荷物を無人搬送車に乗せるピッキング作業は人が、積まれた荷物を目的地まで運ぶのは機械が担う、というように分担されています。
一方でGTPの場合は、自動でピッキングリストを読み込んで、対象の荷物が積まれた棚やカゴごと機械が牽引する或いは持ち上げて、人が作業する場所まで運びます。
そのため、GTPを導入している現場では人が倉庫内を歩いて荷物を探すという工数がなくなります。
AGVとAMRを、それぞれ明確に定義した上で線引きしようとすることは、かなり困難になってきているのが現状です。もちろん、両者の間には、確かにいくつかの違いがあります。けれども、たとえば「SLAM方式を搭載しているAGV」といったタイプの製品も出てきているため、もともとの定義から大きくはずれている機種が少なくないです。
AGVやAMRの導入を検討する際には、区別して考えるというよりもむしろ、「どの機種が自社のニーズに適した機能をもっているか」をベースに考えることが大切だといえます。
AGVが「モノをA地点からB地点まで運ぶ機能をもつ無人搬送車」であるのに対し、AMRは「人と協働するためのロボット」であると表現できます。
ソーシャルディスタンスの確保や単純作業などはAMRに任せ、その分人は「より付加価値の高い仕事」に集中できるようになり、少子高齢化による労働力不足という現代社会が抱える経営課題の解消にもつながると考えられます。今後、AMRへの期待はますます高まっていくのではないでしょうか。
無人搬送技術には、AGV、AMR、GTPの3つの代表例があることを紹介しました。
自社にはどの技術を導入するのが良いのか分からない場合は、より多くの製品を取り揃えているメーカーに相談することで理想の無人搬送車を見つけることができます。