「産業用ロボットを導入したが、上手く使いこなせない」「思うように操作できない」と悩むケースは少なくありません。産業用ロボットを使いこなすために必要なのが。「ロボットティーチング」と呼ばれる作業です。ロボットティーチングの必要性や主な手法、ロボットティーチングをするために必要なスキルについてご紹介します。
ロボットティーチングとは、ロボットに対し必要な動作を教え込む作業のことを指します。「どのような条件で・どのような手順で・どのような場面で動かすか」という指示を与えないと、ロボットは思い通りに動いてくれません。ロボットティーチングの手法は、大きく分けて「オンライン・ティーチング」「オフライン・ティーチング」の2つに分けられます。
オンライン・ティーチングは、ロボットの前で実際にティーチング作業を行なう手法のこと。「ティーチペンダント」と呼ばれる専用のコントローラーを使うことでロボットを実際に動かしながら、必要な動作をプログラミングしていきます。なお、オンライン・ティーチングには専門的な知識やスキルを備えた「ティーチングマン」が不可欠。作業員であれば誰でも行なえるわけではありません。
また、ロボットに実際に動きを記録させる作業であるため、その間は生産ラインがストップするのも特徴。そのため、オンライン・ティーチングに時間がかかってしまうと、その分の生産ロスにつながってしまうおそれがあるのです。
オフライン・ティーチングとは、コンピューター上でロボットに必要な動作をプログラミングする作業のことです。より具体的にいうと、コンピューター上で操作内容をプログラミングしたうえでそのティーチングデータをロボットへ送信します。
オフライン・ティーチングは、オンライン・ティーチングとは異なり生産ラインを停止させる必要がありません。くわえて、生産ラインを構築する前にロボットにティーチングを行なえるため生産ロスが発生しないのも特徴です。
前述したように、ロボットティーチングには専門知識やスキル、資格を持った「ティーチングマン」の存在が必要です。ティーチングマンは、厚生労働省が定めた「産業用ロボットへの教示当作業者」という教育を修了してはじめて資格が与えられます。ロボットティーチングの知識やスキルだけでなく、安全性に対する知識や配慮の有無もテストされます。受講時間・受講科目が定められているのも特徴です。
無人搬送車には、「経路誘導式」「自立移動式」「追従式」「アクティブ式」「パッシブ式」という5つの誘導方式があります。無人搬送車へティーチングする際は、5つの誘導方式の特徴とロボットの特徴をしっかりと把握することが大切です。
近年ではAIの発達により、複雑なロボットティーチングも少しずつ自動で行なえるようになってきています。無人搬送車本体にもセンサーやAI、SLAM機能などの技術が搭載され、さらに利便性が高まってきているという背景もあります。