印刷工場における課題と改善策について紹介します。また、無人搬送車を導入することによって解消が期待できる課題や、無人搬送車導入事例についてもまとめました。
印刷オペレーターとは、印刷機を動かすオペレーターのこと。非常に大きな印刷機械から紙やインクまで印刷機に関わるすべてのものを管理するのが仕事です。専門性が高い仕事で、一人前になるには3年ほどかかるとも言われています。大きな機械を扱うため、危険が伴う仕事でもあります。
印刷にはオンデマンド印刷やインクジェット印刷などさまざまな種類があり、それぞれ操作方法や特徴が異なります。印刷オペレーターに必要なスキルや習得できるスキルは、扱う印刷機によってまちまちです。
「版」が必要な印刷機を扱う場合、その版をつくる製版の工程が必要です。ただし、近年ではデジタル化した印刷機が台頭してきていて製版自体の工程が存在しないワークフローの会社もあります。少なくなってきていますが、この製版だけを行っている会社も存在します。
紙を指定の大きさに切る断裁や冊子に加工する製本、紙を特定の形状に切り抜く型抜き、折のついた印刷物を作る折加工などが紙加工に分類されます。
専門の紙工会社に外注する場合もありますが、機器の低価格化や操作の簡略化により最近では自社内で内製化する印刷工場も増えています。
出来上がった印刷物を検品する作業です。具体的には、製本後の汚れや印刷漏れなどをチェックします。コツコツと細かく確認していく作業なので、細かいところまでよく気づく人や集中力がある人に向いている作業です。不具合がなければ商品を出荷し、ひとつの案件が完了します。
電子書籍をはじめとするペーパーレス化の推進によって、紙媒体の需要が減少傾向にあります。近年では印刷物を流通させるメディアが電子化されていて、さらにインターネットを通じて多くの情報が手軽に閲覧できるようになりました。
今後もさらに印刷業界に厳しい状況が続くことが予想されるため、印刷技術に特化して差別化を図るとともに新たな事業を展開する必要性が出てきています。
労働力不足の問題は印刷業界も例外ではありません。印刷工場では縮小する市場や将来性への懸念から、優秀な人材が集まりにくくなっています。また、印刷工場は単調作業が多い、印刷業が古い、仕事が辛そうといったマイナスの業界イメージを持っている人も少なくありません。
それに加え、高齢に伴う熟練者の退職も増えています。アナログ印刷においては技術取得に3年以上かかるため、熟練のスキルを持つ人材の不足も心配されます。
インクや紙は印刷業に欠かせないものですが、インクは石油を紙は木を原料としています。近年高まりをみせる環境問題への意識から、印刷による紙資源の浪費やインク生成によるエネルギー消費は持続可能な社会の実現を遠ざけるものだという意見もあります。
そのため印刷業界では、今後資源節約への取り組みや環境に優しい製品作りなどが加速していくことでしょう。
印刷業界で生き残るためには、紙の印刷に付加価値を与えることが大切になります。ただし紙媒体で提供できる情報には限界があるので、紙媒体とインターネットを融合させた情報の伝達方法を確立することが重要なポイントとなるでしょう。
また、特殊印刷に特化したり高度な色彩を再現したりなど専門性を強みにすることも有効です。
作業の標準化や見える化により、多品種少量生産や品種・数量の変動に対して生産体制を柔軟に対応できるようになります。仕事の原価や全体業務に対する自身の役割などを見せることで、作業員一人ひとりのコスト意識や目標意識を高めるでしょう。
作業員のモチベーションが上がり、効率的な仕事が実現できます。職場環境は人材育成や製品の品質にも結びついているため、人材不足解消にも繋がるでしょう。
無人搬送車を導入することで、印刷物の搬送に対する作業者の負担を軽減できます。搬送に関わっていた人材をほかの業務に割り当てることができるため、印刷製本ラインなどの省力化を実現できるでしょう。コストの削減にも貢献できます。
人はどんなに気を付けていても間違えることがあります。無人搬送車ならば商品間違いなどのミスは起こりません。人的エラーが減少し、業務効率化に繋がります。
印刷機に素材を供給する負担を軽減することが課題だった印刷工場。大型パレット専用の無人搬送車の導入で業務効率化を実現。素材を素材置き場から印刷機の素材供給口まで搬送することで、省力化することができました。
約1.5トンの新聞ロール紙を紙庫から輪転機に搬送する工程で給電式電動トロッコを使用していた印刷工場。設備維持費や設備増設費の増加が問題でした。電気誘導式無人搬送車の導入により、工場のレイアウト変更にも柔軟に対応できるように。甚大な被害及ぼすトラブルが無くなり、信頼性も向上しました。