無軌道で自動走行するAGVと、軌道を必要とするRGVの違いを紹介します。
RGVと比較したときのAGVのメリットとデメリットもまとめました。
AGVはAutomated Guided Vehicleの略で、「無人搬送車」のことを指します。RGVとはRail Guided Vehicleの略で、「有軌道無人搬送車」のことです。どちらも工場や倉庫などの物流現場で使用されます。
AGVとRGVの一番の違いは、軌道があるかないかです。AGVは軌道を必要とせず、マッピングしたエリアを走行。一方RGVは、屋内に設置したレールの上を走ります。
AGVは、無軌道で自動走行する搬送車のこと。レールを設置する必要がないので、無人搬送車を導入する際のコストダウンを実現することが可能です。
AGVの特徴は、車体を誘導する方法によって多少異なります。誘導方法は、「線路誘導式」「自律移動式」「追従式」「アクティブ式」「パッシブ式」の5つです。
RGVを走行させるには、レールが必要です。 RGVの車体へ電力を供給する集電レールを床に設置して、車両を走らせます。レールを設置するぶん初期費用は高いです。ただし、レールがあることによって横荷重に強くなり、高速走行も可能になります。
RGVとは違ってAGVはレールを設置しなくてよいので、搬送車を走行させるために必要な面積を削減することができます。新設する工場や倉庫の場合には、レールの範囲を確保しなくてよくなりますし、既存の工場や倉庫に導入する場合には、レールを撤去したエリアを他の業務に振り分けて効率化を図ることも可能。
走行ルートを変更する際には、誘導体を設置する線路誘導式やアクティブ式、パッシブ式であっても、レールを設置し直すよりは容易です。自律移動式や追従式なら、マッピングを変更するだけで走行ルートを変更できます。
AGVは、RGVよりさらに柔軟に走行ルートを設定できるので、作業場所まで車体を接近させることが可能です。また、AGVの種類によっては、高頻度で使用する棚を認知して効率的なルートを学習するような機能も持っています。このような特徴から、同じ業務量であってもAGVの方が少人数での対応が可能に。労働力不足の解消には人員を増やすだけでなく、AGVを導入するという解決策もあるのです。
RGVを使用している場合は、人がレール付近まで移動しなければなりませんが、AGVなら搬送車を人に近づけることが可能です。レールを設置できない屋外を走らせるAGVもあります。そのため、人員の移動時間を削減することが可能です。追従式のAGVなら、さらに人と荷物の間の距離を短くすることができ、移動時間の大幅な削減を実現できます。
RGVにはレールの設置費用がかかる一方で、AGVは充電式のため、一般的に数多くの車体が必要です。たくさんの車体を導入するコストがかかります。さらに、RGVからAGVに変更する場合には、RGVのレールと車体を撤去する費用も必要です。
これらのコストと業務量や人員、効率化による生産性の向上などを踏まえて検討するとよいでしょう。工場や倉庫内のレイアウトをどう変更するか、AGVと人がどのように業務を分担するか、AGVの導入によりどの程度人件費を削減できるかなどを、事前にシミュレーションすることが大切です。
集電レールから車体へ電力を供給するRGVとは違って、AGVの車体は充電式になります。そのため、充電装置やバッテリー交換が必要です。また、走行ルートが柔軟で小回りがきくので、RGVよりは電力効率が悪くなります。生産性の向上などによって得られるメリットと比較して、AGVの導入を検討するとよいでしょう。